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【富山新聞】 農林水産物輸出 なお残る原発事故の影

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 2017年の農林水産物・食品の輸出額が8千億円を超え、5年連続で過去最高を更新した。日本食ブームを背景に牛肉や緑茶、コメなどの農産物輸出が好調だった。ただ、現在のペースでは、19年に輸出額を1兆円台に乗せる政府目標の達成は危うく、輸出戦略に基づく取り組みを強化する必要がある。
 課題の一つは、東京電力福島第1原発事故に伴い、日本からの食品輸入を規制している国・地域がなお31もあることだ。昨年の輸出先1位の香港、2位の米国、3位の中国でも部分的規制が続いているのは残念である。日本食品の安全性を裏付ける科学的データを示して、原発事故の影を取り除く一層の努力を政府に求めたい。
 政府は昨年、輸出サポート機関の「日本食品海外プロモーションセンター」を新設し、農林水産品の輸出戦略の立案、実行を一元的に行う体制を整えた。18年度も、輸出拠点となる高度な衛生管理体制の食肉処理施設や水産加工施設の整備、外需創出事業などさまざまな施策を推進する。
 輸出環境の変化で注視したいのは、日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)交渉が妥結し、19年にも発効の見通しとなったことである。日EU・EPAでは、欧州からの乳製品やワインなどの輸入が増え、日本の関係業界を圧迫する懸念が指摘されがちである。が、EU側も牛肉や緑茶、青果物、冷凍ブリなど日本の主要な農林水産品の関税を撤廃するため、日本にとっても輸出の道が大きく広がることになる。EPAを追い風に5億人を超える巨大なEU市場を積極的に開拓する取り組みが望まれる。
 また、東京五輪組織委員会は、選手村などに農産物を提供する事業者に、安全性を示す基準・GAP(農業生産工程管理)の認証取得を求めている。国際規格の「グローバルGAP」の取得者が増えれば、農産物輸出に弾みがつくことにもなろう。輸出拡大が農業者らの意欲をかき立て、農業の成長産業化を促すとともに、原発事故に伴う輸入規制の解除にもつながる流れを期待したい。

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