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【中日新聞】 文氏訪朝要請 南北だけ先行させずに

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 平昌冬季五輪を契機とした南北首脳級会談で、北朝鮮側が文在寅(ムンジェイン)大統領の訪朝を要請した。緊張緩和へ期待がかかるが、南北関係改善だけを先行させず、関係国と調整しながら慎重に進めてほしい。
 訪朝の要請は、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長からの親書で伝えられた。「早い時期に会う用意がある」と書かれていたという。
 親書を渡したのは正恩氏の実の妹である与正(ヨジョン)氏だった。
 与正氏は党の第一副部長で、故金日成(キムイルソン)主席の直系親族を意味する「白頭の血統」の一人だ。
 韓国紙が「正恩氏が最も信頼する側近中の側近」と伝えるように、兄と強い信頼関係で結ばれている。政権内でも一定の発言力を持っているとみられている。
 正恩氏が信頼する実妹を韓国に送り込み、「ほほえみ外交」を積極的に展開したのは、韓国の世論を分裂させ、経済制裁や軍事的圧力をかわす狙いがある。
 しかし、北朝鮮の狙いはどうあれ、与正氏の訪韓は、韓国側のメッセージを正恩氏に直接伝える重要な機会ともなった。
 今回の訪韓をセレモニーで終わらせてはならない。南北関係はここ十年間冷え込んでいた。首脳会談も二〇〇七年十月以来行われておらず、実現させたい。日本政府としても協力すべきだ。
 平昌冬季五輪終了後の四月には、延期されていた米韓合同軍事演習が実施される予定だ。北朝鮮は強く反発しており、緊張が高まる事態も予想される。
 南北対話の継続や、首脳会談はもちろん歓迎だが、今後は三つの側面で進める必要がある。
 まずは南北関係改善を目的としたものだ。
 二つ目は、北朝鮮の核・ミサイル問題。この面で北朝鮮が協議に応じなければ、朝鮮半島で本当の緊張緩和は実現しない。
 そして、金正恩氏と、北朝鮮への武力行使も選択肢としている米国をつなぎ、対話に持っていくことも忘れないでほしい。
 今回の平昌五輪で韓国政府は、北朝鮮の選手団や応援団が訪韓できるよう、さまざまな国際的な制裁を一時的に外した。さらに滞在費用約三億円も負担する方針という。
 「南北首脳会談を実現するため」として、今後も譲歩し、費用の負担を続けるようでは、関係国の理解と協力は得にくいだろう。文大統領に、バランスの取れた外交手腕をぜひ求める。目標は朝鮮半島の非核化である。  

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