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【中日新聞】 香港立法会補選 立候補すら認めぬとは

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 三月に予定される香港立法会(議会)補欠選挙で、香港選管は民主派政党の二十一歳女性の立候補を認めなかった。中国の政治介入が露骨になり、香港の高度な自治が瀕死(ひんし)状態にあるのを懸念する。
 民主派政党・デモシスト(香港衆志)常務委員、周庭さんが三月十一日投開票の補選に出馬表明したが、香港選管は認めなかった。
 周さんは、香港行政長官選の民主化を求め、二〇一四年に香港中枢を占拠した雨傘運動を率いた一人で、「運動の女神」と呼ばれた。
 定数七〇の立法会には直接選挙枠と職能代表枠があるが、香港選管が周さんの立候補すら認めぬのは、中国と政治的主張を異にする候補の政治参加の権利を奪う人権侵害と非難されても仕方がない。
 香港政府は親中派長官が率いる。その傘下の香港選管は一六年の立法会選挙の際、候補予定者に「香港は中国の不可分の一部」と定める香港基本法を順守する確認書の提出を義務づけ、独立派の出馬を排除してきた。
 だが、香港衆志は過激な香港独立派とは一線を画している。周さんは本紙の取材に「香港の将来や香港人の生き方を決めるのは、政府や財閥、中国共産党ではなく私たち」と述べた。筋の通った自然な考えではなかろうか。
 香港基本法の解釈権を握り香港の自治に介入する中国には苦々しい主張だろうが、中国は返還後の香港に五十年間の「高度な自治」を認めたはずである。
 自治は市民代表である立法会議員の自由な討論を通じ成し遂げられるべきである。立法会への門戸を閉ざす選管の決定は、香港に対する中国の政治的抑圧に手を貸すような誤った判断である。
 習近平政権は一四年の香港白書で、中国による管轄権を強調し高度な自治を骨抜きにした。香港での愛国主義教育も強めている。
 香港終審法院は違法集会参加などの罪に問われた雨傘運動元リーダーの男性三人に二審実刑を減刑しつつも有罪判決を言い渡した。三人は「市民の抵抗を暴力と認定した」と反発している。
 補選は一六年の選挙で当選したが、議員就任宣誓の言動をめぐり中国、香港両政府の圧力で失格となり、その後の裁判で敗訴が確定した四人の議席を争う。
 香港衆志の候補擁立断念は残念だ。だが、周さんたちにはひるまず、民主主義や言論の自由を踏みにじるような中国のふるまいにノーの声を上げ続けてほしい。  

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