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【西日本新聞】 南北対話 首脳会談に急ぎすぎるな

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 対話の機運が高まるのは歓迎できる。しかし核・ミサイルの放棄につながらないなら、融和ムードも空々しいだけだ。
 平昌(ピョンチャン)五輪参加のために韓国入りした北朝鮮の高官代表団と、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が会談した。
 代表団で注目されたのは、金永南(キムヨンナム)最高人民会議常任委員長に加え、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の妹、金与正(キムヨジョン)氏が参加していることだ。与正氏は正恩氏に率直にものが言える唯一の人物だとみられる。今回の会談は韓国側にとって、金正恩委員長とほぼ直接的に意思疎通する貴重な機会だった。
 会談で北朝鮮側は、南北関係改善を目指すとする金正恩委員長の親書を手渡し、文大統領に訪朝を要請した。南北首脳会談の呼びかけである。早くも大きな外交カードを切ってきた印象だ。
 北朝鮮は五輪開幕の前日、核やミサイル戦力強化を誇示する軍事パレードを実施した。その一方で今回、韓国に対して首脳会談を求めた。核開発を既成事実化したまま、融和的なポーズを見せて、韓国を制裁包囲網から引きはがす意図が透けて見える。
 韓国と北朝鮮はこれまでに2回首脳会談を実施しているが、いずれも韓国が進歩派(リベラル派)政権の時である。同じく進歩派の文大統領なら、首脳会談に乗ってくると踏んだのだろう。
 訪朝要請を受けた文大統領は「南北関係の発展には米朝対話が必要」と指摘しつつも「今後、(訪朝に向けて)条件をつくっていこう」と応じた。少し前のめりしすぎではないかと気になる。
 北朝鮮の韓国への対話攻勢は、それだけ制裁が効いて苦しくなっている表れだといえる。文大統領は功を焦らず、米国や日本と綿密に意見交換し、南北対話を確実に核・ミサイルを巡る米朝協議につなげる戦略を練るべきである。
 過去2回の南北首脳会談は、結果的に北朝鮮の核開発を止められなかった。その轍(てつ)を踏んではならない。文大統領が訪朝するなら、前提として北朝鮮が実質的な核協議に応じる見通しが必要だ。

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