Home > 社説 > 全国紙 > 日経新聞 > 【日経新聞】 震災アーカイブをより便利に
E025-NIKKEI

【日経新聞】 震災アーカイブをより便利に

1 点2 点3 点4 点5 点 (1 投票, 平均: 1.00 点 / 5 点)
Loading...

 東日本大震災から間もなく7年を迎える。その教訓を伝える災害記録のデジタルアーカイブ化が被災自治体などにより進められている。一方で利用促進に向け、資料の権利処理などの課題も浮かんできた。大規模災害を想定した防災、減災にデータベースを有効活用できるよう知恵を絞りたい。
 現在、岩手、宮城県などの被災自治体や研究機関、企業など主要39機関の震災アーカイブに、写真、動画、研究報告書など約359万件のデジタル資料が収集、登録されている。これらのデータは国立国会図書館の震災ポータルサイト「ひなぎく」で一元的に検索、閲覧することが可能だ。
 だが、その使い勝手は、必ずしもいいとは言えない。
 写真や画像などの著作物は、閲覧のみ可能なものも多い。研究者の論文作成や、学校の防災授業などでデータを二次利用したい場合、その都度、権利者に許諾を求める必要がある。だが、権利者を調べて個別に連絡し、同意を求めることは事実上、困難だ。
 参考になるのが一昨年、大規模地震に見舞われた熊本県の取り組みだ。同県では資料収集時に、権利者にアーカイブの目的を丁寧に説明し、商業利用も含む二次利用を前提とした許諾を求めている。データを閲覧限定のもの、ダウンロード可能なものに分けて登録し、利便性を高める試みだ。
 収集データの管理も課題だ。例えば写真なら撮影日時、場所など正確な基本情報を付与する必要がある。図書でいう書誌情報だ。専門家からは、個々の資料に統一的な記号を割り当て、識別機能を高めるべきだとの提言もある。
 基本情報が曖昧では、膨大なデータを集めても検索が極めて不便だ。多くの自治体職員はこうした作業に不慣れだ。ノウハウを学び、共有する支援策も必要だ。
 災害時の避難行動やボランティア活動で得た教訓や知見は国民の共有財産だ。個人情報が特定されるデータの扱いなどに留意しつつアーカイブの活用を進めたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。