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【沖縄タイムス】 [南北首脳級会談]米朝対話につなげたい

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 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は10日、平昌冬季五輪に合わせて訪韓していた北朝鮮の高官代表団と会談した。
 金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の妹で特使の金与正(キムョジョン)・党第1副部長、党序列2位で対外的に国家元首の役割を担う金永南(キムヨンナム)最高人民会議常任委員長らである。
 会談で与正氏は、正恩氏からの親書を手渡し、「早い時期に会う用意がある。都合の良い時期の訪朝を要請する」とのメッセージを口頭で伝えた。文氏は「今後、(訪朝に向けて)条件をつくっていこう」と、前向きに応じた。
 2007年に南北首脳会談を実現した盧武鉉(ノムヒョン)政権下で、文氏は大統領秘書室長として首脳会談に尽力。昨年5月の大統領就任に際しても「条件が整うなら平壌にも行く」と発言している。
 9日の平昌冬季五輪の開会式では、韓国と北朝鮮が06年のトリノ冬季大会以来となる合同入場行進を実施。アイスホッケー女子の合同チームも結成した。
 そんな中での会談である。これまでの南北の冷え込みを考えると、急転直下の変化である。
 ただ単純に歓迎するわけにはいかない。
 南北関係改善に向けた北朝鮮の積極姿勢は、対話への扉を開くきっかけになり得る半面、日米と韓国を分断する狙いがあるからだ。
 文氏は「南北関係の発展には米朝対話が必ず必要だ」とも強調するが、これを北朝鮮側にどう理解させるかが、今後を占う鍵となるだろう。
 
 北朝鮮は一筋縄ではいかない。
 五輪開幕前日の8日、米本土を射程に収める新型大陸弾道ミサイル(ICBM)を誇示した軍事パレードを実施した。米国への対決姿勢は変わっていない。
 米国が敵視政策を取り続けている限り、自分の身を守るために核を持たざるを得ないというのが北朝鮮側の論理である。
 米国は「すべての選択肢がテーブルの上にある」と北朝鮮に対する限定攻撃など軍事的選択肢を排除していない。
 米国とともに安倍晋三首相も圧力一辺倒である。ペンス副大統領との会談でも、圧力を最大限まで高める方針を確認した。
 制裁を強化し、圧力をかけ続けた場合、双方とも後に引けず、北朝鮮を「窮鼠(きゅうそ)猫を噛(か)む」状態に追い込む可能性がある。
 
 問題は五輪・パラリンピック後である。
 延期された米韓合同軍事演習は4月にも実施される予定だ。北朝鮮は演習の中止を求めており、実施されれば朝鮮半島情勢が再び緊迫することになろう。
 戦争だけは絶対に避けなければならない。北朝鮮は在日米軍が攻撃対象であることを明言しており、沖縄も自動的に戦争に巻き込まれる恐れがあるからだ。
 文氏に対する訪朝要請を、膠着(こうちゃく)状態からの転機と捉え、日米韓中ロの関係国は協調して、米朝対話の環境づくりを進めてもらいたい。

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