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【中国新聞】 線香配布問題 まず大臣から襟を正せ

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 茂木敏充経済再生担当相の秘書らが、選挙区で線香を配布していた。自分では配っていないなどとして茂木氏は問題とは考えていないようだが、名前が有権者に伝わる形だったのであれば、公選法に違反する可能性もある。まずは疑問に向き合い、事実関係を調べて、きちんと説明すべきである。
 この問題は先月下旬、週刊誌報道が発端となって発覚した。茂木氏は国会で自身による配布は否定したものの、報じられた秘書による線香配布に加え、衆議院手帳を選挙区の有権者に配っていたことも明らかにした。
 説明では、いずれも自ら代表を務める自民党栃木県第5選挙区支部の活動として、少なくとも2014〜16年の3年間は線香を配布、16年は1万6700円分を計上したという。
 党勢拡大が主な目的だというが、茂木氏の名前は配布先には伝わっていなかったのか、なぜ線香だったのかなど、ふに落ちない点も多い。
 公選法は、候補者が役員を務める団体による寄付行為について「氏名が類推されるような方法でしてはならない」と定めている。秘書が国会議員名に言及して配った場合は公選法の禁じる寄付行為に当たる恐れがあるとの見解を、総務省選挙部長が参院予算委員会で示している。
 茂木氏は、線香や手帳に自分の名前が記されておらず公選法には違反しないという。ならば秘書が贈り主が茂木氏と分かるように配ったかどうかがポイントとなる。ただ、秘書が線香を配る際、名刺を持っていたか、茂木氏の秘書と名乗ったかどうかは、分からないとしている。
 こうした公選法のあいまいさが「抜け穴」として利用されているのではないか。
 政治家による有権者への寄付行為は、今まで何度も問題になった。茂木氏とは単純比較できないが、小野寺五典防衛相は名前入り線香を自ら配って書類送検され、00年に議員辞職した。14年には名前入りのうちわ配布で法相が閣僚を辞任した。
 今はまた、与党に限らず野党でも似たような問題が指摘されている。例えば希望の党の玉木雄一郎代表。自身が代表を務める政党支部が10〜16年、慶弔費として約167万5千円を支出していた。いずれも支援者の葬儀に秘書らが香典を持参、玉木氏の名は出していないという。
 どこかで線引きしないと、政党支部という迂回(うかい)ルートを通せば寄付行為が全て許されかねない。「抜け穴」を野放しにすれば、金権政治が息を吹き返し、政治不信を拡大させる恐れもある。公正な選挙という法の趣旨に沿った対応が不可欠だ。
 政治家としての自覚についても注文したい。茂木氏の国会での対応である。この問題で追及されているのに、選挙制度を所管する隣席の総務相と談笑していたのがその象徴だ。党内からはもちろん、連立を組む公明党からも、緊張感に欠けた態度だと苦言を呈されたほどだ。政権の「緩み」の表れではないか。
 安倍晋三首相は衆院予算委員会で「政治家は襟を正し、与党、野党にかかわらず疑問を持たれれば説明責任を果たしていくことだと思う」と述べた。当然だろう。ましてや茂木氏は重要閣僚の一人である。率先して襟を正し、納得できるよう説明を尽くさねばならない。

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