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【京都新聞】 文氏に訪朝要請  北朝鮮の非核化が先だ

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 融和ムードを高めた上で、狙い澄ましたかのような招請だ。核問題の棚上げを図る北朝鮮の計算に乗せられてはならない。
 平昌五輪に合わせて訪韓した北朝鮮高官代表団が、文在寅大統領に早期の訪朝を要請した。金正恩朝鮮労働党委員長の妹、金与正党第1副部長が正恩氏の親書を手渡し、口頭で伝えた。
 文氏は即答を避けたものの、南北の対話や協力の活性化で合意した。南北関係改善を米朝対話につなげる戦略を描くが、最大の焦点である核問題には双方とも会談では言及しなかったという。
 北朝鮮の核放棄が先決であることを、文氏が直言しなかったのは極めて残念だ。民族の分断から今年で70年、南北の歩み寄りは本来ならば歓迎すべきところだが、「核抜き」のまま首脳会談実現への流れが加速しないか。深刻な懸念を抱かざるを得ない。
 2007年、当時の盧武鉉大統領と金正日総書記による首脳会談では、白頭山観光のための直行路開設など経済支援の色彩が濃い事業で合意した。だが韓国国民の支持を十分得られず、政権交代で白紙になった。大統領秘書室長だった文氏には苦い経験であるとともに、貴重な教訓も得たはずだ。
 しかも今回は、北朝鮮が核・ミサイル能力を着々と向上させる中での招請である。対話のポーズを示して経済制裁を緩和させ、その間に核能力の完成を急ぐ狙いがあるのは明らかだ。
 米国本土をも狙える大陸間弾道ミサイル(ICBM)の完成まで、そう遠くないとされる。韓国の今後の対応が、自国を含むアジア太平洋地域の安全保障環境を左右しかねないことを、文政権はあらためて認識する必要がある。
 度重なる国連の制裁決議と、これまで制裁に慎重だった中国の原油や石油精製品の輸出制限により、対北朝鮮包囲網はかつてなく狭まっている。正恩氏が五輪を利用し、自らの血縁者である与正氏を通じて韓国の懐柔に出たのは、それだけ苦境に立たされているということでもあろう。
 南北対話の拡大は、核問題の進展を伴うことが前提だ。日本と米国は、その原則を韓国に繰り返し確認する必要がある。
 むろん圧力を最大化するだけでは北朝鮮の暴発を招きかねない。包囲網の堅持とともに、北朝鮮の真意を読み取り、圧力政策の「出口」を探らねばならない。日米韓はそのためにも、これまで以上に結束を固めることが重要だ。

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