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【読売新聞】 地方議員年金 なり手不足解消につながるか

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 地方政治を志す人材を幅広く確保する方策が必要だ。その一つになるなら、検討に値しよう。
 自民党が、現在は国民年金にしか加入できない地方議員について、厚生年金への加入を認める議員立法の今国会成立を目指している。1000を超える地方議会が、法整備を求める意見書を可決した。
 町村議員の平均報酬月額は約21万円で、都道府県議や市議らに比べて少ない。大半は他の仕事と兼業している。報酬だけで生計を立てるのは難しく、若い世代には立候補のハードルが高い。
 2015年の統一地方選の町村議選では、無投票当選者が2割を超えた。来年の統一地方選ではさらに増える可能性もある。引退後の生活を一定程度保障する議員立法の狙いは、理解できる。
 民主党政権下の11年に廃止された地方議員年金制度は、公的年金に比べて受給資格を得やすく、支給額も高かった。
 今回の議員立法は、地方議員を地方公務員共済組合の組合員として、厚生年金への加入資格を与える。兼業先の月収が報酬を上回る場合は適用しない。特権批判に配慮し、既存の年金制度を活用した現実的な仕組みと言える。
 保険料は、自治体と議員が折半し、公費負担は約200億円と試算されている。
 野党には、巨額の税負担などを理由に反対論が強い。
 だが、地方議員には地域に根ざし、住民生活にかかわる施策を進める役割がある。民主主義には一定のコストがかかる、という視点を軽んじてはなるまい。
 無論、待遇の改善にとどまらず、地方政治への参入の障壁を様々な面で取り払うことが重要だ。
 総務省は有識者会議で、町村議会のあり方を検討しており、3月にも報告をまとめる。
 女性や若者らが地方議員に名乗りを上げやすくするため、夜間・休日の議会開催など柔軟な運営を進めるとともに、育児休暇制度を整備する必要がある。兼業禁止規定の緩和も検討課題となる。
 地方議員に対する有権者の視線は厳しい。政務活動費の不正受給が相次いでおり、富山市議会では市議14人が辞職に追い込まれた。不正を根絶し、調査研究に資するよう有効に使うことが、議員の処遇改善への大前提だ。
 国会議員の年金は12年前に廃止された。自民党の一部には国会議員年金の復活を求める声がある。世論の動向などを踏まえ、慎重に検討すべきだろう。

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