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E135-KIRYU

【桐生タイムス】 鍛え上げた能力の極み

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 韓国・平昌で始まった冬季五輪。厳寒の地で一流のアスリートたちが精いっぱいの挑戦を続けている。日本人選手の活躍も目覚ましく、女子ジャンプで高梨沙羅選手、男子モーグルで原大智選手、スケート女子1500メートルで高木美帆選手がそれぞれ悲願のメダルを手にした。観衆の気持ちを熱くさせてくれるすばらしいパフォーマンスだった。
 テレビで競技を観戦していると、思うことは多々ある。例えば、女子ジャンプでは風の向きや強さが変わるたびに競技が中断となり、危険を回避するための調整が図られた。競技時間が深夜にまでおよび、強風の中で待たされる選手たちの表情が映し出されるたびに、けがをしないようにと無事を祈った。
 ただ、そうした悪条件の中でも、選手たちはもっと遠くを目指そうと競技に集中し、鍛え上げた体を巧みに操った。優勝したルンビ選手のジャンプはその真骨頂で、空中に身を投げ出して姿勢を決めた後も、小刻みに体を動かしながら姿勢を微調整し、空気の流れをとらえては、ふわりと距離を伸ばした。ジャンパーとはこうやって風を味方につけるものなのだと、少しだけ分かったような気がした。
 4年に1度というイベントに合わせ、選手たちは心技体を鍛え、体調をととのえる。身体能力はもちろん大事。でもそれだけではおそらくだめで、状況を読み、鍛えた身体を自在に操る能力と、とっさに判断を下す冷静さとが不可欠となる。
 練習や試合を通じて試行錯誤を重ね、自分が理想とする形を探し、能力の限界にも見当をつけ、身体の操縦法を身につける。新しい環境に適応するための力は、そうやって育まれるのだろう。平昌の会場で見せた選手たちの冷静なパフォーマンスは、そうした準備の賜物だ。
 一方、悪天候で競技が遅れたり、コースセッティングが難しかったりと、今大会は運営上の課題も指摘されている。
 あらゆる選手が、磨いてきた能力を100%発揮できるような環境を整えることは極めて難しい。その点はおそらく、真夏に開催される2020年の東京五輪でも課題となるはずだ。
 競技を終えた後、選手どうしが互いの健闘をたたえあう光景や発する言葉の数々にも、大きな魅力がある。競技内容のみならず、いい表情、いい言葉と出合うためにも、運営側の準備はますます大事になるのだろう。

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