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【沖縄タイムス】 [「働き方改革」法案]労働者保護優先させよ

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 いったい誰のための改革なのか。
 政権の目玉政策である働き方改革関連法案が、近く国会へ提出される。
 安倍晋三首相が「歴史的な大改革」と位置付ける法案は、労働基準法のほか労働者派遣法、労働安全衛生法など8本の改正案を一つにまとめたものだ。
 
 法案の柱は罰則付きの残業規制。上限を原則「月45時間、年360時間」とし、繁忙期は特例で「月100時間未満、年720時間」とする。
 正社員や非正規といった雇用形態にかかわらず、同じ仕事をする人には同じ賃金を支払う「同一労働同一賃金の実現」がもう一つの柱である。
 働く人の健康を守り、パートや契約社員など非正規の待遇改善を図る方向に異論はない。ただ特例とはいえ「月100時間未満」の設定は、過労死ラインぎりぎりまで働かせることにお墨付きを与えるもので再考を求めたい。
 問題は、セットで法案に盛り込まれた、高度プロフェッショナル制度(高プロ)の導入と裁量労働制の拡大だ。
 高プロは年収1075万円以上の専門職を労働時間規制や残業代支払いの対象から外すもの。裁量労働制はあらかじめ決めた分だけ働いたとみなす制度である。
 いずれも「成果で評価する制度」とされるが、労働者の立場の弱さを考えると、賃金を抑えて長時間働かせることができる仕組みにつながりかねない。
 労働時間規制の強化と緩和では目指す方向がまったく異なっており、一本化は乱暴なやり方だ。
 
 高プロは、ホワイトカラー・エグゼンプションとして導入が検討された10年以上前から「残業代ゼロ法案」と強い批判を浴びてきた。
 政府は「対象者は給与所得者の3%程度」と説明するものの、過去に経団連が「年収400万円以上」とするよう提言したことがある。導入された後、なし崩し的に適用が広がらないだろうか。
 対象範囲を拡大する裁量労働制にも同様の不安がつきまとう。残業実態がつかみにくい分、会社側の健康管理はなおざりになりがちで、不当に長時間残業を強いられていると訴える労働者が少なくない。
 労働時間規制の強化と緩和の抱き合わせに、野党が「禍根を残す」と反発するのは当然だ。
 高プロ導入と裁量労働制の拡大を関連法案から分離する必要がある。
 
 もともと法案は昨秋の臨時国会で審議される予定だった。だが安倍首相の突然の衆院解散で先送りとなった経緯がある。
 その先送りの影響を受けて、中小企業の残業規制導入が当初予定より1年遅れて2020年4月になる見込みという。同一労働同一賃金導入も1年ずれ込む。
 政権の「自己都合」で、施行が先延ばしされるというのは納得できない。
 長時間労働の是正、非正規の待遇改善は待ったなしの課題である。働く人を守るための改革を優先すべきだ。

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