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【山陽新聞】 南北の融和 目標の非核化を忘れるな

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 平昌五輪を契機とした南北融和ムードに流され、朝鮮半島の非核化が置き去りになってはならない。北朝鮮の狙いを冷静に分析し、国際社会の足並みを乱さないことが大切である。
 韓国入りした北朝鮮の金永南(キムヨンナム)最高人民会議常任委員長ら高官代表団と、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が会談し、南北関係の改善で合意した。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の親書が手渡され、「早い時期に会う用意がある」との文氏の訪朝を求めるメッセージが口頭で伝えられたという。
 最大の注目は、正恩氏の妹の与正(ヨジョン)氏が代表団の一員に選ばれ、兄の特使として会談に臨んだことだろう。与正氏は兄に直言できる唯一の存在とされ北朝鮮指導部での存在感が高まっており、間接的な南北首脳会談ととらえる向きもある。
 就任直後から訪朝に意欲を示していた文氏も前向きに検討することを伝えた。実現すれば70年前の南北の分断以来3度目で、関係改善も期待できよう。
 だが、北朝鮮がなぜ、南北の融和を急ぐのか。その真の思惑が透けて見える以上、対話に前のめりの文氏の姿勢にはいささかの危惧を覚えざるを得ない。
 南北融和の演出は、核・ミサイル問題における国際的な経済制裁が、北朝鮮経済に打撃を与えつつある証しとも言えよう。軍事的圧力をかける米国との決定的な対決も避けたいはずである。
 そのため、韓国から支援を引き出すことで制裁網に風穴を開け、さらには韓国と米国との間にくさびを打ち込んで圧力をかわす。正恩氏と極めて近い与正氏の訪韓の裏には、悪化する局面の打開のため、南北の関係改善を一気に図ろうとする意図があるのは明らかだ。
 南北融和は歓迎するが、それが核問題の解決という最終目標につながらなければ意味がない。訪韓した安倍晋三首相やペンス米副大統領が文氏と相次いで会談し、日米韓の連携で最大限の圧力をかけ続けることを再確認したのは当然であろう。
 韓国側は南北の対話が核問題解決に寄与するとして、日米などに理解を求めている。ただ、現状は北朝鮮ペースになっており、拙速は何より慎むべきだ。
 北朝鮮は五輪開幕の直前に軍事パレードを行い、米本土を射程に収める新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」などを誇示した。五輪・パラリンピックを理由に延期された米韓合同軍事演習が実施されれば、再び強硬な瀬戸際外交に戻る可能性もなくはない。
 非核化に応じる気配がなければ、これまで通りの制裁圧力を維持していくことが重要である。北朝鮮を核放棄に向けた協議の土俵に乗せるにはどうすればよいか。日米韓はその一点で結束し、戦略を練ってもらいたい。

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