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【京都新聞】 象牙の市場  日本も閉鎖決断を急げ

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 アフリカゾウの絶滅への懸念から、世界で象牙の市場閉鎖が拡大している。
 日本は「適切に管理されている」として市場維持の考えだが、世界の潮流に背を向けて取引を続けることは難しくなっている。閉鎖を決断すべき時期ではないか。
 世界最大の象牙市場とされる中国では、違法な持ち込みが横行していた。だが、2016年のワシントン条約締約国会議で各国に国内象牙取引市場の閉鎖を求める決議が採択されたのを受け、昨年末、商業目的の象牙の加工や販売を全面禁止にした。
 日本と同様、中国市場への密輸の温床とされ、国際的な批判を浴びてきた香港は先月、21年から商業取引を全面禁止する条例を可決した。米国も既に国内取引を原則禁止にし、欧州連合(EU)も全面禁止を含めて検討している。
 一方、日本政府は、市場に流通しているのはワシントン条約で国際取引が禁止される1990年以前に輸入された象牙だとして、国への登録を条件に販売を認める考えを変えていない。だが、登録が必要なのは完全形の象牙で、加工品は対象外だ。密猟されたものでも、分割・加工されれば合法品と見分けがつかず、紛れて流通しているとの指摘がある。
 昨年、政府は種の保存法を改正し、印鑑など象牙製品の取扱事業者を届け出制から登録制にするなど管理や罰則を強化した。一歩前進とはいえ、正確な国内在庫量さえ把握できていない中で、違法取引の排除をどこまで徹底できるか疑問が残る。
 そもそも完全形の象牙も合法品とは限らない。世界自然保護基金(WWF)によると、日本の計50社の古美術業者に違法な未登録の完全形象牙の買い取りを持ち掛けたところ、半数が応じる意向を示した。2011~16年に日本から主に中国に密輸された象牙は、2・4トン以上に上ったという。
 今秋のワシントン条約常設委員会では、日本の違法取引排除への取り組みがチェックされる。市場閉鎖に消極的な姿勢は、厳しい批判を受ける可能性がある。
 国内の象牙市場規模は1989年に約200億円あったが、2014年には10分の1に縮小し、印鑑もチタンなど別の材料に変わってきている。市場閉鎖をしても影響は小さいとみてよい。
 アフリカゾウは、象牙目的の密猟で06年より11万頭減ったとされる。日本が絶滅に加担することがあってはならない。

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