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【富山新聞】 困窮者住宅の防火 行政の指導監督責任重く

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 政府は、生活困窮者らが利用する無料・低額宿泊所の防火態勢を強化するため、社会福祉法の改正案を閣議決定した。これまで指針にとどまっていた防火態勢の最低基準を法令に明記し、違反した場合、自治体が改善命令を出せるようにするのが柱である。法改正により、施設運営者の管理責任とともに、行政の指導・監督責任も一段と重くなると認識してほしい。
 火災で11人が死亡した札幌市の共同住宅「そしあるハイム」は、生活困窮者の自立支援施設とされるが、入居者の多くは高齢の生活保護受給者で、実質的に無料・低額宿泊所の機能を果たしていた。
 社会福祉法の対象である無料・低額宿泊所の防火態勢について、政府は消火、避難設備などの整備のほか、消防計画の作成と定期の避難訓練の実施を求めている。現在はあくまで指針であり、法的強制力はないが、札幌の共同住宅火災でまず問題なのは、施設を運営する会社経営者の防火意識が極めて希薄で、避難計画の策定や避難訓練の実施をまったく考えてこなかったことである。
 札幌市は、施設の実態は無届けの有料老人ホームではないかとみて調査票を送った。しかし、返信を待ち続けるだけで、市側から実態調査や行政指導に入ることはなかった。今後、自治体はこうした受け身、待ちの姿勢や不作為を許されないことになる。
 無料・低額宿泊所は、民間住宅への入居を断られがちな生活困窮者に対して、一時的な住まいを提供するものである。が、実際には恒常的なすみかとなっているケースが多いとみられ、社会福祉法改正によって防火態勢を強化することは必要な措置である。
 ただ、住環境の整備に伴って入居者がさらに増え、居住期間が一層長期化する可能性もある。そうした状況は、無料・低額宿泊所の本来の趣旨にそぐわない。
 社会福祉法とともに、生活困窮者自立支援法も改正され、宿泊所利用者の孤立化を避けるための新たな施策が予定されている。入居者に対する自治体の就労支援の強化も望みたい。

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