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【河北新報】 GDP8期連続増/景気下押しリスクに警戒を

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 内閣府がきのう発表した2017年10〜12月期の国内総生産(GDP)速報値は実質で前期比0.1%増、年率換算で0.5%の増となった。
 これで8四半期、つまり2年にわたりプラス成長が続いたことになる。この長さは12期連続プラスだったバブル期の1980年代後半以来、実に28年ぶりのこと。さらに2017年暦年では名目GDP額が約546兆円に達し、過去最高を更新したという。
 だが、そうした数字が躍れば躍るほど国民の思いとは懸け離れる。「緩やか」といえども景気回復の実感が今なお乏しいのだから、仕方ない。
 10〜12月期のプラス成長を主導したのは、世界的な好況を追い風に、輸出と設備投資を拡大した企業といえる。
 GDPの約6割を占める個人消費もプラスには転じた。ただ、前期がマイナスだったことによる反動が大きいとの指摘が目立つ。依然として力強さを欠き、景気回復をけん引しているとは言い難い。
 それもそのはずだ。肝心の賃金が伸び悩んでいる。
 厚生労働省の毎月勤労統計調査で、17年通年の実質賃金が前年比0.2%減と、2年ぶりにマイナスとなった。16年は実に5年ぶりのプラスだった。だが、17年は賃金の伸びが、電気料金やガソリン代を含む物価の上昇に追いつかず、再び前年を割り込んだ。
 実質賃金は、働く人たちの正味の購買力を示す指標とされる。こうした状況では「経済の好循環」を力強く回す消費の拡大は期待できまい。
 内需主導による景気回復の実現に向け、今春闘における賃上げは一段とその重要性を増したと言っていい。
 収益力の上がった企業には積極的な賃上げを求めたい。同時に、継続的な賃上げ基盤をつくるためにも、企業の成長力を高める議論を労使で深めてもらいたい。
 もっとも、賃上げにも悪影響を及ぼしかねない不安材料が頭をもたげてきた。米国発の世界的な株価乱高下にみられる金融市場の変調だ。特に注意が必要とされるのは、米長期金利の動きである。
 好景気が続き、ただでも中央銀行が金融引き締めに動く中、トランプ政権による大型減税と歳出増に伴う財政赤字拡大に対する懸念から、長期金利の上昇圧力が高まる。
 金利上昇は企業経営の重荷となる。株安にとどまらず、米国の実体経済にも悪影響が及べば、輸出好調で成長を引っ張る日本企業にも、先行き不透明感が広がろう。
 世界で金融市場の変調が続けば、安全資産とされる円が買われ円高が進みかねない。
 日本企業の好業績を支える円安株高が、円高株安に反転すれば、産業界は慎重姿勢にならざるを得ない。賃上げにも暗い影を落としかねない。
 政府、日銀は世界的な金融市場の動向を注視し、国内景気の下押しリスクへの警戒を怠ってはならない。

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