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【山陽新聞】 「森友」新文書 不信感増す財務省の対応

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 新たな文書が出てくるのは評価するが、なぜもっと早く出せなかったのか。
 学校法人「森友学園」への国有地売却問題に絡み、財務省が新たな内部文書20件を公表した。2013年から15年にかけ、国有地売却に向けた定期借地契約を巡り、財務省近畿財務局が内部で法律上の問題点などを検討していた文書である。大学教授の情報公開請求を受けて今年1月に開示した5件に続くものだ。
 首をかしげるのは、昨年行われた会計検査院の調査に対し、財務省がこれら25件を提出しなかったことだ。提出は会計検査院の報告書ができた後だったという。情報公開請求がきっかけで見つかったと財務省は釈明するが、信じがたい。調査が終わるまで組織的に隠蔽(いんぺい)していたのでは、と疑われても仕方なかろう。
 新文書が出てきたことで、野党は学園との交渉記録を「廃棄した」としていた佐川宣寿・前財務省理財局長(現・国税庁長官)の答弁の問題点を追及している。麻生太郎財務相は「交渉記録ではない」と強調している。
 確かに交渉記録そのものではないが、交渉の経緯が詳細に分かる内容だ。交渉記録ではないと強弁して済ませようとするのはあまりにも不誠実ではないか。内部文書の存在を会計検査院に伝えた後も迅速に国会に説明しておらず、財務省の対応は国会軽視といわざるを得ない。
 野党は佐川氏の国会招致を求めるが、与党は応じていない。佐川氏は昨年7月の国税庁長官就任以来、記者会見も開いていない。逃げ回っている印象を与える対応は、国民の不信感を増幅させるだけだ。自民党内からも「記者会見にも応じないのは違和感がある」(石破茂元幹事長)などの声も出ている。与党は対応を考え直すべきだ。
 森友問題の本質は国民の財産である国有地が約8億円も値引きして売却されたことである。会計検査院が値引きの算定がずさんと認定した事実は重い。しかし、政府は今に至るまで問題に関わる責任者を特定し、処分することをしていない。それが問題を長引かせる一因にもなっている。きちんとした原因究明なしに真の再発防止はあり得ない。
 国会論戦では、安倍晋三首相の妻昭恵氏と学園との関係も焦点になっている。新たに出てきた学園の籠池泰典前理事長らの音声データを基に野党が追及すると、首相が「うそ八百だ」と声を荒らげて内容を否定する場面もあった。その籠池夫妻は昨年7月の逮捕以降、長期勾留されたままである。
 首相は自分も妻も国有地売却には関与していないと強調するが、それならなぜ、異例ずくめの払い下げが行われたのか。財務省に徹底的に検証させ、責任の所在を明らかにするのが首相のやるべきことだろう。このまま疑惑の幕引きを図れば、国民の疑念は募るだけだ。

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