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【信濃毎日新聞】 自動運転バス 過疎地の足に育てたい

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 自動運転バスの実証実験が伊那市長谷で行われている。
 実用化して住民のニーズにきめ細かに対応できれば、過疎地の暮らしを支えるインフラになる。技術開発の進展を楽しみに見守りたい。
 国土交通省が全国13カ所で進めている実験の一環である。国道152号の道の駅「南アルプスむら長谷」と市長谷総合支所の間の往復5キロ区間を使っている。
 国交省は東京五輪・パラリンピックが開催される2020年までに初歩的な自動運転技術を確立することを目指している。具体的には、(1)過疎地など限定された場所での無人自動走行(2)高速道路で有人の先頭車に無人の車が追随する自動走行―が目標だ。
 業界は開発にしのぎを削っている。日米欧などの自動車メーカーやIT企業が旧来の「自動車」や「運転」にとらわれない発想で挑戦を続けている。
 伊那市での実験の主な目的は、衛星利用測位システム(GPS)を使った仕組みと利用者の受け止めの検証だ。モニターとして乗った市民からは過疎地の足として期待する声が出ている。
 長谷地区の人口は1700人余。旧長谷村と伊那市の合併からの11年間で2割近く減った。高齢化率は高い。スーパーはないので、買い物のため地区外に出向く人が多い。自動運転バスが実用化し、自宅前まで迎えに来るなど便利な交通手段になれば、暮らしの支えになるだろう。
 自動運転については事故防止への期待も大きい。
 ドライバーの高齢化と公共交通の弱体化が進んでいる。運転に自信を持てなくなった人も車を手放せない現実がある。完全な自動運転でなくても、歩行者や他の車、障害物を回避する仕組みができれば歓迎されるはずだ。
 政府は昨年春まとめた工程表に運転手が急病になったときの対応システム、事故の際の自動緊急通報、ドライブレコーダーなど多彩な開発メニューを盛り込んでいる。過疎化、高齢化の深刻さを踏まえれば、自動運転バスと事故防止に力点を置くべきだ。
 自動運転は自動車の在り方を変える可能性が高い。運転する楽しみは二次的になり、人や荷物を安全、確実に運ぶ機能が重視されるようになるだろう。関連業界は変容を迫られる。
 自動車産業は日本経済の大黒柱だ。自動運転技術の展開と将来性を見通した的確な対応が業界と政府に求められる。 (2月15日)

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