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【信濃毎日新聞】 堅調なGDP 国民の実感が伴わない

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 昨年10〜12月期の国内総生産(GDP)速報値が、実質で8四半期(2年間)連続してプラスとなった。
 バブル期以来、約28年ぶりである。同時に発表された2017年のGDPも6年連続してプラスとなった。茂木敏充経済再生担当相は「景気は緩やかに回復している」との認識を示した。
 GDPの上では、日本経済は長期にわたって堅調ということになる。上場企業の18年3月期の純利益合計も2年連続で過去最高を更新する見通しだ。
 それなのに好景気を実感できない国民が多いのではないか。内閣府が8日に発表した1月の景気ウオッチャー調査が、それを裏付けている。
 街角の景気実感を示すとされる調査である。現状判断指数(季節調整値)は前月比4・0ポイント低下の49・9となり、2カ月連続して悪化した。好不況の判断の分かれ目となる50も下回り、基調判断も引き下げられている。
 この差は何が原因なのか。理由の一つは、賃金が伸び悩んでいることである。
 厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、17年の働く人1人当たりの給与総額(名目賃金)は、前年より0・4%増にとどまった。物価の影響を考慮した実質賃金は0・2%減となっている。
 これでは国民が景気回復を実感できず、消費が伸び悩むのも当然だ。年金問題など将来に対する不安も財布のひもを固くしている。企業の好業績が消費増につながる「経済の好循環」が実現する見通しは立たない。日銀が目指す物価上昇率2%も遠い状況だ。
 日本経済がデフレ脱却を果たす前に、緩和マネーが景気を支える世界の構図は変わりつつある。
 米欧の中央銀行は緩和縮小に動きだしている。米国では連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが加速する見方が強まって金利が上昇し、ニューヨーク株式市場が大幅に下落した。東京市場でも不安定な値動きが続いている。
 好景気と低金利が共存する「適温相場」が崩れ、円高と株価下落が続く可能性もある。消費者や経営者の心理を冷やし、実体経済に悪影響を与えかねない。
 懸念されるのは、産業界の慎重姿勢が春闘での賃上げ抑制につながることである。経団連は賃上げ3%を容認する姿勢を示している。賃金が伸び悩むと経済の好循環がさらに遠のくことを企業は認識し、実績に応じて賃上げに前向きに取り組むべきだ。 (2月15日)

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