Home > 社説 > 地方紙 > 北海道・東北地方 > 陸奥新報(青森県) > 【陸奥新報】 ドーピング問題「東京五輪へ対策強化を」
E080-MUTSU

【陸奥新報】 ドーピング問題「東京五輪へ対策強化を」

1 点2 点3 点4 点5 点 (まだ投票していません)
Loading...

 
 平昌五輪で極めて残念な事態が生じてしまった。スピードスケート・ショートトラック男子日本代表選手が、ドーピング検査で禁止薬物の陽性反応が出たため、暫定資格停止処分を受けた。夏季五輪では1984年ロサンゼルス大会でバレーボール男子の日本選手から興奮剤が検出された例があるが、冬季五輪では初めてのケースとなる。
 選手は「ドーピング(違反)を行おうと考えたことはこれまでに一度もありません。アスリートとして絶対にしてはいけないと理解していました」とし、「偶発的に起きた出来事により、禁止薬物が無自覚のまま口に入ったものとしか考えられません」とするコメントを発表。監督も「(選手は)ドーピングに関しても意識は高かった。なぜ陽性が出るのか不思議でならない」と困惑する。
 同じ日本人として選手、監督の言葉を信じたいし、偶発的な事態だと願う。現段階で違反がなかったと反証する証拠はないようだが、ドーピング違反の有無が審議される大会終了後までに経緯が解明されることを期待したい。
 今大会、ロシアは組織的なドーピング問題が発覚したために選手団の派遣が禁じられ、個人資格での出場のみが認められた。ロシアの問題が影を落とす中、最初にドーピングが発覚したことは、海外の日本に対するイメージを悪化させたことは間違いないだろう。
 これまでクリーンなイメージがあった日本だが昨年、薬物違反が競泳、自転車、レスリングなどで頻発。今年1月には、カヌー選手がライバル選手の飲料に禁止薬物を混入するという前代未聞の不祥事も発覚し、海外でも報じられた。
 2年後の東京五輪に向け、傷ついたイメージを回復する取り組みが求められる。国内ではアンチ・ドーピング機構などが中心となり、啓発や教育を軸に反ドーピング活動が進められてきた。今回の事態を受け、スポーツ庁の鈴木大地長官は「啓発活動を繰り返し、しつこいぐらいに話をしていくしかないだろうと思っている」と話した。
 啓発などで選手の良識に頼る部分は多いだろうが、他者の悪意から選手を守る策を講じることも必要だろう。カヌー選手の不祥事を受け、同競技連盟は競技会場で禁止薬物混入を防ぐためのドリンク保管所設置と監視の強化といった再発防止策を取った。こうした対策を加速させていくことも重要だ。
 欧米などに比べ、日本はドーピングに対する取り組みが遅れていることは否めない。それは、日本のスポーツ界が健全だったことの裏返しと言えるかもしれないし、必ずしもネガティブに捉える必要はないだろう。ただ、東京五輪で日本選手がドーピング違反をすれば、日本のイメージ・ブランドは地に落ちるはず。それだけは避けなければならない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。