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【中国新聞】 黒田総裁続投へ 緩和の「出口」、道筋示せ

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 日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁が再任される見通しになった。5年の任期を超えて続投するのは異例であり、57年ぶりになる。
 2013年3月に就任した黒田氏は、2%の物価上昇目標を掲げて異次元の金融緩和に乗り出した。国債の大量買い入れやマイナス金利政策など積極的に緩和路線を推し進めてきた。景気や雇用の改善を下支えしたことが評価されての再任になったのだろう。
 安倍晋三首相には、アベノミクスの「顔」ともいえる黒田氏を続投させることで、大規模な金融緩和政策の継続を国内外にアピールしたい思惑があるに違いない。
 来年10月には消費税率の引き上げを控えている。米国発の株価急落など景気の先行きにも不透明感が漂い始めた。黒田氏を交代させれば、円相場や株価に変調を来しかねないとの判断があったのかもしれない。結果的に現状維持という選択に落ち着いたようだ。
 だが、就任時に2年をめどに実現するとした2%の物価目標は、これまで6回にわたって達成時期が先送りされた。5年たった今でも実現のめどは立っていない。超低金利によって金融機関の収益が悪化するなど、大規模緩和の副作用に対する懸念も強まっている。
 しばらくは現行の路線を維持していくのだろうが、2期目では大規模緩和を縮小し終了させる「出口」に向かって踏み出さざるを得ない。米国や欧州の中央銀行は既に金融緩和の縮小や金利引き上げに動きだしている。厳しいかじ取りが待ち受けているのは間違いない。
 2%の物価上昇を遠のかせるとして、出口戦略について黒田氏は「時期尚早」とほとんど語っていない。そもそも大規模緩和は目標達成に向けた「非常措置」だった。正常化に向けた議論は欠かせないはずだ。
 大規模緩和によって円安と株高がもたらされ、企業業績は大幅に改善した。しかし、その利益は内部留保に回され、賃上げも十分に進んでいない。家計もぬくもらず将来への不安から個人消費も伸び悩んだままだ。
 物価目標を達成できなかったのは、大規模緩和に頼った金融政策に限界があったからではないか。5年間の政策運営をきっちりと検証する必要がある。そして再任する際には出口戦略への準備やリスクについて丁寧な説明が求められるのは当然だ。
 お金を世の中へ大量に供給するため、日銀が国債を大量に買い続けた結果、保有量は発行残高の4割を超える。株式を組み込んだ投資信託の購入も大規模に進めている。金利や株式などの金融市場では、かつてなく日銀の存在感が高まっている。
 出口を探って利上げに踏み切ったり購入を減らしたりする動きが出れば、市場が混乱する恐れがある。金利が高騰すれば、割高な価格で国債を買い込んだつけが回り、日銀も大幅な損失を出す可能性もある。
 年明けから米国の長期金利が上昇し、世界的に株価が下落するなど金融市場の動揺が続く。円高も進んでおり、足元の景気には不確実性が高まっている。景気が減速するリスクに備えなければならないのに、追加緩和策など日銀に残された打つ手は乏しいように映る。今まで通りの路線では対応できまい。

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