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【京都新聞】 ドイツの大連立  政治空白には終止符を

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 曲折を経て、ドイツの連立政権交渉がようやく合意した。
 昨年9月の総選挙後、4カ月以上も新政権づくりが難航し、ドイツだけでなく欧州各国にも懸念が広がっていた。大連立は政権安定への唯一の選択肢であり、一刻も早く政治空白に終止符を打ってもらいたい。
 メルケル首相が率いる保守系のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と、第2党である中道左派の社会民主党(SPD)の大連立交渉は、閣僚ポストの割り振りで一致し、対立していた医療保険や雇用対策でも譲歩し合った。第4次メルケル政権樹立に向け、ひとまず大きなヤマを越したと言える。
 ただ、もう一つ越えねばならないハードルがある。SPDは連立入りの是非を全党員による投票(20日から来月2日)で判断し、これが最終関門となる。党員の承認を得られなければ解散・総選挙、あるいは少数与党による不安定な政権運営を強いられる。
 SPDは2013年からCDU・CSUと大連立を組んできたが、政権内で埋没して、総選挙で大敗。再度の連立入りに反対する声が根強く、SPD執行部が大連立の承認に向けて青年組織などを説得できるかどうかが鍵となる。
 だが交渉を進めたシュルツ党首は党内の反発を受けて党首を辞任し、内定していた外相就任も断念する事態に陥った。党員投票の行方は予断を許さない状況だ。
 政策が大きく隔たる両党が「愛情のない結婚」と酷評されても大連立に合意した背景には、躍進する反難民・移民の新興右派政党の存在がある。双方とも交渉が決裂すれば、右派のいっそうの台頭を招くという「最悪のシナリオ」は避けねばならなかった。
 とはいえ連立ありきで進められた交渉で政策の違いを克服するには至らず、両党とも党内に不満がくすぶり、将来に禍根を残してしまった。双方の信頼関係を再構築し、安定した政権運営につなげられるのか、メルケル氏の手腕が試されよう。
 メルケル氏は欧州連合(EU)で絶大な影響力を持ち、まとめ役として指導力を発揮してきた。その政治基盤の弱体化により「一つの欧州」を目指す理念が揺らぐことが気掛かりだ。
 大連立政権の正式発足は早くても来月上旬となり、長い政治空白を招いたことでメルケル氏の求心力低下は否めない。不安材料を抱えた再出発となろうが、大きく揺らぐ国際社会で今後も指導力を発揮し続けてもらいたい。

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